SEエストpro 運用手順ガイド

□はじめに

ここでは、「SEエストpro」及び「SEエストWeb」の導入から運用までの手順を解説します。
開発者はこの手順で使用されることを想定して作成していますということです。あくまで一例ですので、実際には好きに使ってもらえればよいです。
SEエストproはシステム構成も使い方も比較的複雑なシステムです。できるだけわかり易く作ったつもりなのですが、いきなり全てを理解するのは難しいかもしれません。本システムは、作者のプロジェクトマネージャの経験を元に設計されています。ですが、作者のプロジェクトマネージャとしての経験は1社だけですので、貴社の運用とはそぐわない部分もあったりするかもしれません。その場合、貴社の運用にあうように読み替えてみてください。柔軟性を重視して設計したつもりですのでなんとかなるかもしれません。
まずは、本手順書に目を通していただきシステムをご理解ください。使い方が分かってしまえば手放せなくなると思います。たぶん。

□導入準備

IAサーバ機(Windowsを載せられるサーバ機)を用意してください。
DBサーバはSQL Serverの最小要件を満たす必要がありますので、前世紀のマシンではダメかもしれません。SQL Server 2005 Express Editionの要件は次のページで確認してください。

http://www.microsoft.com/japan/sql/editions/express/sysreqs.mspx
SQL Server 2005 Express Edition with Advanced Servicesの場合は更に高いスペックが要求されます。

Webサーバも兼ねる場合にはさらに+αの性能があった方がよいです。といっても、それほどトラフィックの多いシステムではないと思うのであまり高性能なものを用意する必要は全然ないと思います。クライアントで使うには辛くなった遊休になってるマシンを掘り起こしてやってください。

OSはサーバライセンスのあるWindowsを用意してください。
DBはSQL Serverです。SQL Server 2005 Express Editionを推奨します。これは、同時に多数のユーザが利用することはあまり無いであろうことと、SEエストWebがASP.NETで動作するので.NET Framework2.0を必要とするためです。ですが、SQL Server 2000やMSDE2000でも問題ありません。2000より前のバージョンでの動作は確認していません。
なお、SQL Server 2005 は、cash prefetchをサポートしないCPUのマシンではインストールに失敗します(参照)。ちなみに、K6-2,K6-III,Crusoeはだめでした。C7は動いてます。

SEエストproは直接DBサーバに接続して使用します。このため、SEエストproをサーバ機以外で使用する場合には、OS側のCALやSQL Serverのセキュリティ設定にも注意が必要です。

容易に再起動とかできないような運用がされている既存サーバでの利用は避けてください。そのようなことを考慮したサポートはできません。

その他の詳細はインストール手順書を参考にしてください。

□インストール

まずは、SEエストWebをインストール手順書に従ってサーバ機にインストールしてください。SQL Serverになれていない場合には混合認証モードでインストールされることを推奨します。セキュリティ的にSQL Server認証が使用可能であることがまずい場合には、Enterprise ManagerやSQL Server Management Studio ExpressでWindows認証に変更することが可能です。

SEエストWebにログインできることが確認できたら、SEエストproをSQL Serverへのアクセスが許されたマシンにインストールしてください。とりあえず、サーバ機にインストールして確認してみることをお勧めします(インストールといってもコピーするだけですし)。
SEエストproのログイン画面の「サーバ編集」で設定した内容は、インストール先のdbServer.xmlに保存されています。このファイルを配布することでSEエストproの利用者毎に設定する手間が省けます。

Microsoft ExcelやWordのマクロを使用してドキュメントを作成することもできます。別途配布している「見積書.xlt」と「基本仕様書.dot」を入手してください。これらのファイルはマクロソースコードも含めて自由に変更してかまいません。御社の運用に合わせて書き換えてください。SEエストproをインストールしたクライアントマシンにコピーしておきます(詳細は添付のドキュメントを参照して下さい)。もちろん、MS-ExcelとMS-Wordも必要になります。
MS-ProjectにSEエストproで入力した情報を取り込むこともできますので、可能ならご用意ください。
Excel, Wordは2000で、Projectは2002でのみ動作確認しています。開発者は他のバージョンを持ち合わせていませんので動作しなくてもサポートできません。

□Adminによる初期設定(SEエストWeb)

手順 作業内容
開始 SEエストWebにAdminでログインします。パスワードもAdminです。通常、ユーザIDは大文字小文字を区別しませんが、パスワードは区別されます。
まずは、「ユーザ管理」-「ユーザ編集」でAdminのパスワードを変更しておきましょう。
ポリシー設定 「マスタ管理」-「ポリシー」でポリシーを設定します。
ポリシーはシステム全体に影響するパラメタを設定します。まずはこれを設定してください。
ポリシーを操作できるのはAdminだけです。
COCOMO係数設定 「マスタ管理」-「COCOMO係数」でCOCOMOIIで試算工数の算出に使用する係数を設定します。
この係数は御社の実績に合わせて随時調整してください。(初期設定されている係数は、南カリフォルニア大学のUSC-COCOMOII(1999)で使用されている値です。)
COCOMO係数を変更できるのはAdminだけです。
第一階層グループ登録 「ユーザ管理」-「グループ登録」で組織の第一階層(「システム統括部」とかの最上位層です)を登録します。
グループ登録はPM以上の権限のあるユーザなら操作可能ですが、第一階層はAdminだけが設定できます。
管理者登録 Adminは特別強力な管理者ユーザです。「ユーザ管理」-「ユーザ追加」で作業用の管理者ユーザを作りましょう。
管理者といえど所属するグループ配下にしかグループやユーザを登録できません。よって、第一階層グループ毎に管理者を作成することになります。

□管理者による初期設定(SEエストWeb)

手順 作業内容
開始 SEエストWebに管理者ユーザでログインします。
開発プロセス編集 「マスタ管理」-「開発プロセス」で開発プロセスを定義します。初期設定されているものはサンプルです。必要に応じて編集して下さい。
現版では単に工程名称などの初期値の定義に過ぎません。最終的にはSEエストproでプロジェクト毎に定義します。
開発プロセスを操作できるのは管理者とAdminだけです。
価格種別編集 「マスタ管理」-「価格編集」で顧客に請求する単価のグループを定義します。工数を元に請求する場合の職務種別毎の時間単価と、ファンクションポイントで請求する場合のポイント単価を指定します。どちらかしか使用しない場合でもとりあえず両方定義してください。
価格種別を変更できるのは管理者とAdminだけです。
開発言語編集 「マスタ管理」-「言語編集」で開発に使用する言語を定義します。その言語でファンクションポイント1ポイントを実現するのに必要となるステップ数も定義します。この値を使用してファンクションポイントから予測ステップ数(試算LOC)が計算されます。
価格種別を変更できるのは管理者とAdminだけです。
PM登録 「ユーザ管理」-「ユーザ登録」でプロジェクトマネージャ(PM)となるユーザを登録します。PMが第一階層グループ以外に属するのであれば、事前に「グループ登録」でPMが属するグループを登録しておきます。
本システムでは、「顧客」「グループ」「プロジェクト」を区別するコードはPM以下のユーザが指定することになります。これらのコードの命名規約を管理者から指示してください。

□PMによるプロジェクト作成(SEエストWeb)

手順 作業内容
開始 SEエストWebにPM以上のユーザでログインします。
顧客登録 プロジェクトに関わる顧客が未登録であるなら、「マスタ管理」-「顧客登録」で登録します。
ユーザ登録 「ユーザ管理」-「ユーザ登録」でプロジェクトで作業するメンバで未登録の人がいれば登録します。必要に応じてグループも登録してください。
プロジェクト作成 「プロジェクト管理」-「プロジェクト作成」でプロジェクトを作成します。
プロジェクトは契約の単位と考えてください。契約が複数に分かれる場合や2次開発などが見込まれる場合には、親プロジェクトを作成しその下に各プロジェクトを作るなどすると良いと思います。
この後のSEエストproを使用した作業を行えるのは基本的にプロジェクトを作成したユーザです。他のユーザにこの作業を行わせたい場合は、プロジェクト作成後に「プロジェクト編集」の「編集許可ユーザ編集」を使います。
「ユーザ登録」と「プロジェクト作成」はリーダ権限ユーザでも行えます。

□プロジェクトの詳細設定(SEエストpro)

手順 作業内容
開始 SEエストproを起動して、プロジェクトを作成した(又は編集許可された)ユーザでログインします。
作業メンバ登録 【作業メンバ】ボタンを押して、プロジェクトで作業するメンバを追加します。
占有時間はこの時点では決められないでしょうけど適当な数値を仮設定しておいてください。
作成物登録 【作成物】ボタンを押して、プロジェクトで成果物として作成するものを登録します。
大工程登録 【大工程】ボタンを押して、開発の大工程を定義します。この段階では正確な日付は決められないと思いますが適当に指定してください。
定義した各工程の進捗を管理するためのマイルストーンも定義します。
同様に、作成物登録で登録した作成物をどの工程で完成させるかも指定します。
購入品登録 【購入品】ボタンを押して、プロジェクト遂行に必要となるソフトウェア、ハードウェア、サービスなどを登録します。
基本情報編集 【基本】ボタンを押して、「プロジェクト概要」と「特記事項」を書いておきます。
要因係数編集リンクを押して「COCOMOⅡ要因係数編集」の画面を開いて係数を設定しておきます。
この時点では、この画面の他の入力項目は無視してかまいません。
「作成物登録」は「大工程登録」の前に行う必要はありますが、それ以外の作業順序は自由です。

□機能の作成(SEエストpro)

手順 作業内容
検討 「機能」は見積りを行う単位と考えてください。また、進捗報告の単位でもあります。
どこまで細かく機能を分けるかは見積り技法によります。
WBS(積算法)であれば、正確に見積もれる単位まで細かく機能を定義します。機能は階層を持てますのでうまく利用してください。
ファンクションポイントを使うのであれば、ファンクションポイントで言うところのアプリケーションを1機能とし、必要ならその下階層に機能を追加していきます。ファンクションと機能は1対1に対応させる必要はありません。1機能に複数のファンクションを定義することも、ファンクションを持たない機能を作ることもできます。
本システムでは、階層構造をうまく使うことでこの両方の見積りを同時に行うこともできるようになっています。
作成 「基本情報」内の【新規】ボタンを押して、機能を作成します。
この段階では「予想ステップ数」の項目は無視して問題ないです。
とりあえず最上位階層の機能(アプリケーション)を作成しましよう。
ファンクションポイント 「ファンクションポイント」内の【編集】ボタンを押して、ファンクションポイントのファイルや要素処理を登録していきます。調整係数も設定してください。
最上位階層の機能にはデータファンクション(ILF、EIF)を定義するとよいと思います。トランザクションファンクション(EI、EO、EQ)は最上位階層にまとめて定義してもよいですが、下位に機能を追加してそちらに分割して定義することをお勧めします。
作成2 2層目以降に機能を追加していきます(調整係数は親機能のものがコピーされます)。
予想ステップ数設定 「データFP計算」を「最上位機能単位で分割」に設定します。アプリケーションが1つだけの場合は「全機能に分割」でもよいです(若干負荷が減ります)。
未調整ファンクションポイント(UFP)と「開発言語編集」で設定された係数から計算された数値が「試算LOC」として表示されています。【反映】ボタンを押すことでこの値を予想ステップ数として設定できます。もちろん、この値を参考程度と考えて手入力することもできます(「基本情報」内の【編集】ボタンを押して、「予想ステップ数」に入力)。
ファンクションポイントが定義できないレベルまで細分化された機能においては「試算LOC」は使えないことになります。この場合は、手入力で各機能に設定してもよいですが、ファンクションポイントを定義している階層の機能にまとめて予想ステップ数を設定してもよいと思います。

□工数見積り(SEエストpro)

手順 作業内容
予想工数入力 「工数見積り」内の【編集】ボタンを押して、各機能の各工程に作業メンバと工数を入力していきます。
全ての機能を見積もった段階で各作業メンバの残工数が0に近似しない場合には【作業メンバ】ボタンを押して占有時間を再設定するか、作業分担を再考してください。
比較検証 次の手順で見積り結果の妥当性を検証します。
  1. 「データFP計算」を「最上位機能単位で分割」に設定します。アプリケーションが1つだけの場合は「全機能に分割」でもよいです(若干負荷が減ります)。
  2. 「機能値表示」を「子機能計表示」に設定します。
  3. ファンクションポイントを定義している階層の機能に移動します。
  4. 次の各数値と「工数合計」の値を比較します。大きな隔たりがある場合には再考してみることをお勧めします。
    経験工数 既に完了している同一開発言語を使用したプロジェクトの実績を元にファンクションポイントあたりに必要となる工数を予測した値です。
    試算工数配分値 プロジェクト全体の試算LOCとCOCOMOⅡ要因係数を使用しCOCOMOⅡの計算式で求めた試算工数を試算工数分配基準(オプションで設定)で分配したものです。
【大工程】内の工程別見積り集計でプロジェクト全体での工程別見積り工数の集計が表示されます。こちらの「比率」が予定の工程比率と乖離していないことも確認しておきましょう。
採算検証 【基本】ボタンを押して、「プロジェクト基本情報編集」の画面を開きます。
「見積り値」や「予測費用」で計算対象とするものにチェックを入れます。
「その他」「値引き」「間接費」などを入力します。
最終的な「受注額」や「出費額」を設定し、目標の利益率を確保できているか判断します。
線表作成準備 「ツール」-「ファイル出力」でファイルを作成します。
「要件定義」「運用テスト」などの工程の見積りは機能毎に定義しづらいし面倒かもしれません。この場合は、最上位階層の機能に纏めて設定してもよいと思います。その場合、「大工程登録」で設定した「工程比率」と「補正」を元に未定義の工程分を補正した数値が「補正工数」として表示されますので「工数合計」の変わりにこちらを使用して「比較検証」を行います。

線表作成(MS-Project)

手順 作業内容
準備 MS-Projectを起動します。
初めてならSEESTproMap.mppでMap登録します。
読み込み 前項で作成したファイルを読み込みます。
線表検討 ガントチャートなどを整理して作業分担に無理がないかチェックします。
また、線表が引ければ大工程の詳細な日付も決まるでしょうからSEエストproで大工程を再設定しておきましょう。
MS-Project連携の詳細な手順はSEエストproのヘルプの「ファイル出力」の項を参照してください。

□見積り書作成(MS-Excel)

手順 作業内容
準備 MS-Excelを起動します。
新規作成で「見積り書.xlt」を指定します。
マクロ実行 CTRL+mでマクロを起動します。
ExcelマクロはSQL Serverにアクセスし、指定プロジェクトに関する見積り書を作成します。

□基本仕様書作成(MS-Word)

手順 作業内容
準備 MS-Wordを起動します。
新規作成で「基本仕様書.dot」を指定します。
マクロ実行 「ツール」-「マクロ」で実行します。
WordマクロはSQL Serverにアクセスし、指定プロジェクトに関する情報をWord文書に変換します。
基本仕様書はプロジェクト開始前の作業メンバへの説明に使うためのドキュメントです。
同様の情報は、SEエストWebの「プロジェクト選択」-「詳細情報」でも参照できます。

□進捗報告・管理(SEエストWeb)

手順 作業内容
開始 SEエストWebにログインします。
報告 「プロジェクト選択」-「進捗報告」で各機能・各工程の進捗を報告します。
権限レベルが「メンバ」の人はログインできません。また「一般」の人は自分以外の人の進捗を変更できません。メンバ権限の人の進捗はリーダ権限以上の人が代理で報告する必要があります。
確認 プロジェクトの進捗管理責任者もこの画面で進捗状況を確認します。
工程完了 進捗状況をみて「プロジェクト選択」-「工程完了」で工程の完了を宣言します。別に全ての機能で進捗が100%になっていなくても完了させられます。ステータスを変えて気分を変えるだけのものです。
プロジェクト完了 納品・検収・プロジェクト完了の日付を設定して完了を宣言します。
完了プロジェクトは、SEエストproでの経験工数の計算対象にできます。経験工数がより意味のある数値になるようにするため、完了前にファンクションポイントの見直しを行っておくべきでしょう。現版では、ファンクションポイントの履歴管理はできませんので、見積り時の数値を残しておきたい場合は「基本仕様書.dot」などで記録して下さい。
以上でプロジェクトは終わりです。お疲れさまでした。